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最近、新聞やテレビ、ネットでも自動運転車の話題を目にすることが多いですよね。
完全自動運転車が普及され、人やモノを運べるようになったら、「運転免許」や「車」に対する認識が180度変わるだろうと予想されます。
この自動運転ですが、現在開発されているのは地上を走る車だけではありません。
「空飛ぶクルマ」も、多くの企業が開発を進めています。
その1つ、エアロネクスト社が開発を進めている『空飛ぶゴンドラ』、「Next MOBILITY®」原理試作を見てみましょう。
空飛ぶゴンドラ、「Next MOBILITY®」
Next MOBILITY®原理試作第一号機は、1人乗りの機体の実際の3分の1サイズのモデルです。
翼部が機体の横ではなく前後についているという、ちょっと変わった形状をしています。
動画を見た限りでは、確かに、人が座っている搭乗部が常に地面に対して水平に保たれているので、『空飛ぶゴンドラ』のように見えますね。
- サイズ:全幅1,380mm × 全長1,400mm × 全高700mm
- 重量:8,200g
- 定員:1名
- ドア:2面両開き
*スペックは原理試作の参考スペックで、量産機に関しては具体的な用途に合わせ開発
- パイロットの同乗が必要ない遠隔操縦自動航行の乗り物
- 離陸から水平飛行への移行がスムーズで安定
- 座席が地面に対して水平に保てるので快適な乗り心地
- リラックスして同乗者とのコミュニケーションを楽しめる
- 乗降位置が低く、スカートやハイヒールでも乗り込みやすい
- 前方左右はガラス張りで、空からの景色を楽しめる
- 主翼とプロペラを備えることで、有事の際にも即時墜落を回避できる
- 着陸時の衝撃を緩和できる
この『空飛ぶゴンドラ』は、まるで観覧車のゴンドラが空に飛び立ち自由に飛ぶことができるような世界をイメージし、操縦不要で乗降しやすく、揺れを最小限に抑え、景色や移動中の会話をリラックスして楽しめるとのこと。
ただ、「前方左右はガラス張りで、空からの景色を楽しめる」とのことですが、目の前の景色を楽しむには翼部分が邪魔になりそうですね。
これに関しては、改良の余地があるのかな、と思いました。
それにしても、1人乗りの機体の実際の3分の1サイズとはいえ、重さが8kg程度って、すごく軽くないですか?
大きさはともかく、重さだけで考えれば、簡単に持ち運びできちゃうってことですよね。
「パイロットの同乗が必要ない遠隔操縦自動航行の乗り物」が実用化すれば、タクシードライバーのいない空飛ぶタクシーも実現可能。
空飛ぶタクシーと聞いて映画「フィフス・エレメント」を思い浮かべるのは、私だけではないはず。
初めてフィフス・エレメントを見たときは「実現不可能なすごい未来」と思っていたけれど、この映画の世界が日常になる日も、そんなに遠くはないのかもしれません。
いや、映画の中では、ブルース・ウィリスがタクシードライバーとして活躍していました。
完全自動運転化されれば、ブルース・ウィリスも失業、ですね。
同じくウーバーも、無人化しそうです。
この特許を読んでみよう
【特許番号】特許第6613423号(P6613423)
【発明の名称】有人飛行体
【特許権者】
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
【技術分野】
本発明は、有人飛行体に関し、特に、推力部と翼部とが変位可能に接続されるものに関する。
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の技術によれば、上昇時において主翼がプロペラ後流の広範囲に入ることから主翼に飛行効率が悪い。また、ホバリングから水平飛行への移行時においては、主翼が負の迎角(ゼロ揚力角)となる。即ち、主翼による揚力発生に必要な水平方向への推力が得られるまでの間、機体は下降する危険性がある。
特許文献2の技術によれば、主翼全体が変位することから風の抵抗を受けたりと不安定である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ホバリングから水平飛行への効率的かつ安全な移行を可能にした有人飛行体を提供する。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
揚力発生部と、
飛行及びホバリング可能な推力発生部と、
少なくともホバリング時において前記揚力発生部が飛行方向に対して正の迎角を維持可能となるように前記揚力発生部及び前記推力発生部を変位可能に接続する接続部とを備える、
飛行体が得られる。
【発明の効果】
この発明によれば、ホバリングから水平飛行への効率的かつ安全な移行を可能にした飛行体を提供することができる。
…うーむ。
いつものことながら、特許明細書で使われる言葉って、難しいですよね。
日本語の理解には問題がないはずの日本人が読んでも、難解だと思うこともしばしば。
ということで、小難しい特許明細書を、わかりやすく説明してみましょう。
この特許の発明って、どんなもの?
「有人飛行体」に関係した発明だよ。
有人飛行体ってなぁに?
人を乗せて飛ぶことのできるモノ(物体)だよ。
アラジンでいえば、「空飛ぶカーペット」だね。
まぁ、この特許の飛行体は、カーペットというよりも、飛行機とかヘリコプターとかに近い感じだけどね。
あと、この「有人」っていうのは「人を乗せる」っていう意味なんだけど、人の代わりに荷物を載せて運んでもいいんだよ。
でもそうなると、パイロットがいない「無人」の状態になっちゃう。
その場合は、リモコンでラジコン飛行機を飛ばすみたいに、どこか別の場所で誰かがこの飛行体を動かしたり、飛行体が自動で動くように設定しておいたりするんだよ。
推力部ってなぁに?
「推力」や「推進力」は、車とは飛行機とかの、物体が前進する力のことだよ。「推力発生部」とは、推力を生み出す場所のこと。
この特許でいうと、102のモータ、104のプロペラが、推力の発生に関係する場所だね。
推力と揚力って、何が違うの?
「推力」が前に進むための力だとすると、「揚力」は翼が浮くための力だよ。
この図を見るとわかりやすいんじゃないかな。
変位ってなぁに?
物体が位置を変えることだよ。
ホバリングってなぁに?
ヘリコプターや飛行機が、空中で静止した状態のことだよ。
結局、この特許の特徴ってなぁに?
飛行体って、ホバリングの状態(揚力)から前に進める(水平飛行状態にする)ためには、推力が必要なんだよね。
その推力を得るには、翼を飛行する方向に対して正の迎角にしなくちゃいけないんだ。
実は、この特許に似た飛行体が別の特許に出ているんだけど、残念ながらそれだと、ホバリングかから水平飛行に変更した時に、翼が負の迎角になっちゃうんだよね。
推力が得られるまでの間に機体が下の方向に向かってしまうから、空を飛ぶモノとしてはちょっと都合が悪い。
もう1つ別の特許の飛行体が例として挙がってるんだけど、こっちはホバリングの時に翼全体の位置が垂直になるから、風の抵抗を受けしまうと不安定になっちゃう。
だから、これも飛行体として少々都合が悪いんだよね。
上の2つの例に比べてこの特許の飛行体は、ホバリング状態から水平飛行に切り替えるときに、効率よく揚力を推力に変えられるように工夫されているんだ。
つまり、この工夫が他の飛行体との違いであり、特徴であると言えるね。
具体的に、どうやって工夫されているの?
飛び立つときやホバリングするときは揚力が必要だから、翼やプロペラが上に向いてる。
下の図の通りだね。
でも、前に進みたいときには、機体部の角度が変わって、その機体にくっついている推進部である翼やプロペラの位置や角度(変位)が変わるんだよ。
下の図から、その様子がわかるよ。
こうやって、翼やプロペラの位置が変えられるから、ホバリング状態から水平飛行状態への切り替えが、スムーズ&安全に行えるんだね。
機体の角度が変わるからといって、中にいる人や荷物も一緒に前のめりに倒れたままになっちゃうと、移動時間中に困ってしまうことになる。
だからこの飛行体は、機体の角度が変わっても、搭乗する部分は傾いてしまわないようにちゃんと設計してあるんだよ。
まるで観覧者のゴンドラ、つまり、『空飛ぶゴンドラ』みたいにね。
この特許の飛行体がどんなものかをすごく大まかに説明しましたが、実際の特許は当然ながらもっと細かく説明されています。
興味があったらJ-PlatPatからダウンロードして読んでみてください。
図を含めて12ページの短い特許明細書なので、あんまり時間がかからずに読めると思います。
エアロネクスト社公式サイト
https://aeronext.co.jp/
*画像もエアロネクスト社からお借りしています。