シンプルな文章ほど、係り受け構造の解析が難しい(気がする)
最近翻訳中に、訳語確定の難しさを思い知った一文があります。
“View A to help you understand and improve B, C and D.”
原文中、このA~Dには名詞が入っています。
そしてこの文章内、view、help、understand、improveと4つの動詞が使われています。
このとても簡単そうに見える文章、いざ翻訳しようとしたら、ものすごく悩むことになりました。
というのも、4つ目の動詞 “improve”が、どの動詞と並列になるのかが分からなかったからです。
「だったら文章の意味から考えてみればいいでしょ」と思う人がほとんどではないでしょうか。
自分もそう思いました。
しかし、このimprove、どの動詞と並列しても訳語としておかしくない気がするのです。
係り受け構造を考えてみる
選択肢としては3つ。
1. viewとの並列
View A to help you understand
and
improve B, C and D.
2. helpとの並列
View A to help you understand
and
improve B, C and D.
3. understandとの並列
View A to help you understand
and
improve B, C and D.
文章の前後関係からも、どの訳語がいいのか自分なりに考えてみましたが、基本どれもおかしくないんですよね。
上記3つの文章を和訳すると、それぞれけっこう似ているのですが、やはりニュアンスは違ってくる。
このような曖昧な文章がトライアルや実ジョブで出てきたら、どのように対処するのが一番なのでしょうか。
実ジョブだとしたら、最悪クライアントにお伺いを立てるか、コメントに残すこともできると思うのですが、トライアルでは質問をすることすらできませんよね。
「原文(英文)があいまいなんだから、日本語訳も同じようにあいまいにしちゃってもいいかな、でもそれじゃあ逃げてるのと変わんないよね」などと考えていたら、かなり時間が経ってしまいました。
同時に、「実ジョブでこんな些細なことで悩み続けてたら、いくら時間があっても足らないな」、とも思いました。
書き手の意図を読み取り(汲み取り)、さらに読み手にとって魅力的と感じる文章に翻訳するのって、難しいですね。
だからこそ翻訳は面白い、とも言えるのですが。