現在、ASML社の露光装置関連の特許の対訳に取り組んでいます。
用語の確定や、用語そのものの検索に時間がかかり、カタツムリのごとくゆっくりと歩んでいます。
しかし、新しいことを学べる楽しさも味わっています。
以前に比べ、検索の仕方が自分なりに変わってきましたが、その検索の際、気づいたことが2つあります。
特許では、それぞれの企業に特有の言い回しや用語が使われることがある
「そんなこと、当たり前だよね」と言われるかもしれませんが、自分はこれまで明確に感じたことはありませんでした。
例えば、「反射型リソグラフィ装置」という言葉。
「リソグラフィ装置」、「反射型装置」、あるいは「反射型マスク」などの言い回しは一般的に使われているようですが、「反射型リソグラフィ装置」はGoogleで検索してもほとんどありません。
特許情報プラットフォームで「反射型リソグラフィ装置」を検索してみたところ、51件ヒットしました。
その全て、ASML社が出願人でした。
前回、管理人さんに指摘していただいた「パターニングデバイス」もしかり。
とある大企業が特許内で使っているからといって、その用語の使い方や言い回しが、他の企業にとって当たり前だとは言い切れないとわかりました。
訳語決定は慎重に行うべきですね。
特許はリサイクルされている
また、ASML社の特許を10件ほど見てみると、同じ言い回しがたくさんでてくるのがわかります。
言い回しだけでなく、丸々同じ段落が出てきたり、全く同じ図表が、複数の特許内で使われていたりするんですよね。
そういえば、ニコンの特許内の【背景技術】でも、ほぼ同じ言い回しの段落が複数の特許で使われていたな、と思い出しました。
ここで、「ああ、特許はかなりの量が使いまわしされているんだな」、と実感しました。
同じ出願人の同じような特許の仕事を続けてもらえたとしたら、Tradosなどの用語ベースやメモリに吸い上げたものを全部リサイクルできますし、何より特許内容をすでに理解して(少なくとも全く知らないものではない)います。
だから、かなりおいしい仕事となるんだな、と納得です。
教訓:1つの特許をじっくり読み込んで、あとは加速させる
脳は「差」しか見ない。
10件の類似特許があるとしたら、10件均等に時間を費やすのではなく、まずは1件に集中し、露光関連の基礎知識をしっかり身に着け、残りの9件は差を見ながら追記していくという方法をとってみようかと考えています。