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原文がいまいちで、かつ訳が引きずられてしまう例
【原文】
The polymers are further purified by precipitation from deionized water and dried.
【オリジナル訳】
ポリマーは、脱イオン水から沈澱させて更に精製した後乾燥する。
【ビデオ内修正訳】
更に、当該ポリマーは脱イオン水による沈澱で精製し乾燥させる。
上記が、昨日「IBM社レジスト特許を読む」で学習した一文です。
たかが一文、されど一文。
1時間以上に渡るビデオセミナーが、この一文に凝縮されていました。
ビデオセミナーで学習することなく自力で翻訳した場合、オリジナル訳に近いものになってしまったことでしょう。というのも、しっかりここでのプロセスを把握していなかったからです。
昨日のブログでは、ここでのプロセスを図にしたときの写真を掲載しました。
このプロセスを簡単にすると、
-
precipitate(沈澱する)
-
filtrate(ろ過する)
-
wash(洗浄する)
-
dry(オーブンで乾燥する)
となります。
文章による説明
溶液Aの中に目的物質(ここではポリマー)が溶けてます(一番左の図)。
このポリマーを取り出し、最終的には粉末状の物質にしたい。
そこでまず、溶液Aを溶液B(左から2番目の図)の中に注ぎ入れます。そうすると、溶解度が変化することによって、ポリマーが沈澱します(precipitate)。
この沈澱したポリマーを取り出す作業に移りますが、まだ余分なものもひっついている状態です。となると、ポリマーをきれいにする必要があります。
ここでろ過を行います(filtrate)。洗浄瓶などを使い(wash)、素焼きの上にきれいなポリマーだけを残します(左から3番目の図)。
ポリマーはきれいになりましたが、ここではまだ濡れた状態です。目的物質は粉末状になったポリマーです。
濡れているポリマーをオーブンに入れ、乾燥させます(dry)(一番右の図)。
これで目的物質ができあがりました。
実は、ビデオセミナー内では説明が続いており、この明細書に記載されているポリマーを取り出す具体的な方法は、THFやメタノールを使用した下の図のようになります。
どちらにしても、これらのプロセスを理解すると、オリジナル訳の「ポリマーは、脱イオン水から沈澱させて」はおかしいことがわかります。
ここでの作業は、
「脱イオン水の中にポリマーが含まれている溶液を注ぎ入れることで、ポリマーを沈澱させる」ことであって、「(もともとポリマーが含まれていない)脱イオン水から(ポリマーを)沈澱する」
はできないのでは、と思うのです。
しかし、ここでの工程を把握することを怠り、原文をそのまま直訳すると、オリジナル訳のようになってしまうのですね。
翻訳の奥深さ
それにしても、翻訳は奥が深いです。
明細書内で説明されている物事が、頭の中にパッと浮かぶくらいじゃないと、置換屋に成り下がる可能性が高くなります。
翻訳者にとって、多言語に長けていることはもちろんアドバンテージですが、どの言語にしても「意味を読み取る」ことができない限り、成功者になり得ない、そうひしひしと痛感しています。
成功者となるために、そして自分が掲げた目標を達成するために、ガチガチに固まった脳地を掘り起こし、しっかりした土台を築き上げていきます。
今日の一言
First they ignore you,
then they laugh at you,
then they fight you,
then you win.
Mahatma Gandhi