小学3年生に、グワカモレが黒っぽくなる理由を問われる
コストコで購入したアボカドがかなり熟してきたため、パクチー、トマト、ネギ、ライム、塩コショウをフードプロセッサーで混ぜ合わせて、グワカモレ(guacamole)を作りました。
カナダではよく作っていたのですが、日本に来てからは数回しか作っていなかったため、長女は大喜びです。
けっこうな量のグワカモレになったので、娘に「そのままにしておくとアボカドが黒くなっちゃうから、明日食べる分はピッタリラップをかけておいてね」と伝えました。
そこで、チコちゃん(娘ですが)の登場です。
「どうしてそのままにしておくと、アボカドが黒くなっちゃうの?」
うっ…、こ、答えられない。
酸化するということはわかっていたので、「食べ物をこうやって長い間空気にさらすと、酸化しちゃうんだよ。酸化すると、物の色が変わっていくんだよ。リンゴとかバナナとかもそうでしょ」と苦し紛れに答えました。
小学3年生に「酸化する」なんて言っても、わからないと思います。
教師失格です。
そこでまた質問が。
「じゃあ、酸化しない食べ物ってあるの?」
「酸化しにくい食べ物はあるけれど、酸化しない食べ物はないんじゃないかな」
そう答えましたが、実は自分の想像であり、根拠は全くありません。
岡野の化学で酸化について少しは勉強したつもりですが、小学生が納得するように説明するのは、本当に難しいです。
アボカドが変色する理由は、ポリフェノールとキノンがカギとなる
自分自身もしっかり理解するため、調べてみました。
まず、アボカドやリンゴには、ポリフェノールがたくさん含まれています。
下の図がフェノールです。岡野の化学で出てきましたね。
このフェノールにいろいろな化合物がくっついて、多種類のポリフェノールが作られます。
たとえば、お茶で知られているカテキン(catechin)とか。
また、ワインや柿などの渋みとなるタンニン(tannin)とか。
さて、アボカドやリンゴを切って空気にさらずと、変色してきます。
これは、ポリフェノールオキシダーゼなどの酸化酵素が関与しているからです。
このポリフェノールオキシダーゼによる褐色化反応は、こちらです。
上記の化学反応式からわかるように、ポリフェノールが酸化すると、キノンと水が生成します。
下の図の、右側がオルトの位置にあるオルト‐ベンゾキノン(o-benzoquinone)、左側がパラの位置にあるパラ‐ベンゾキノン(p-benzoquinone)です。
このキノンが重合し、最終的に褐色物質が生成されます。
英語のWikipedia内に下記のような説明があるように、キノン誘導体には合成染料として重要なものが多いのです。
“Many natural and artificial coloring substances (dyes and pigments) are quinone derivatives.”
(quoate from wikipedia)
キノン染料は古くから使われていたようですが、昔の人たちは反応式なんてことは全く考えず、「おばあちゃんの知恵袋」的感覚で、何をどう使えばいいのか知っていたのでしょうね。
おまけ:アボカドの酸化を防ぐ方法
アボカドを切ったまま放置しておくと、黒っぽくなってしまいます。
これは酸化してしまうからなので、酸化を防げばいい、つまり空気に触れさせないようにすればいいわけですね。
自分はレモン汁やオリーブオイルをまんべんなく塗る、という方法をよく使います。
そのままサラダに入れてしまっても、美味しく食べられるので。
その他に見つけた方法として、「酢をかける(レモン汁と同様)」や、「密閉できる保存容器に小さく切ったたまねぎを入れ、一緒にアボカドを入れておく」や、「電子レンジで10~20秒チンする」などの方法がありました。
ただ、自分の経験上、アボカドは長時間切ったままにしておくと、あまり変色が起こらなくても、フレッシュ感がなくなってしまいます。
ですので、早めに美味しくいただくことをお勧めします。
- レモン汁やお酢を塗る
- オイルを塗る
- たまねぎと一緒に密閉容器に入れる
- レンジでチンする